研究系及び研究施設の現状 203
高 嶋 圭 史 (助手)
*)
A -1)専門領域:加速器物理学
A -2)研究課題:
a) 電子蓄積リングに代わる小型光源の研究 b)小型放射光施設の放射線遮蔽の研究 c) X線発生用小型電子蓄積リングの研究
A -3)研究活動の概略と主な成果
a) 電子蓄積リングに代わる小型光源の研究 b)小型放射光施設の放射線遮蔽の研究 c) X 線発生用小型電子蓄積リングの研究
A -3)研究活動の概略と主な成果
a) 電子蓄積リングに代わる小型光源のための電子発生装置として,フォトカソードを用いた高周波電子銃の研究,開 発を行っている。さらに,電子蓄積リングを用いない小型のX線源の実現可能性を検討するため,エネルギー 100 MeV 程度の電子ビームを金属多層泊に入射した場合に発生するX線の強度をモンテカルロシミュレーションによ り計算した。この場合,入射電子を非常に小さな角度で入射すると,多層箔の箔間でX線が全反射し,外部に取りだ すことができるため,従来のバルクターゲットを用い多場合よりも多くのX線を取りだせる可能性があることがわ かった。
b)小型放射光施設の放射線遮蔽を効果的に行うため,小型電子蓄積リングから発生する放射線量(実効線量)を簡単に 計算するための簡易式の提案を行った。
c) 電子エネルギー 1 GeV 程度,周長 40 m程度の小型電子蓄積リングに,X線発生用挿入光源として 7 T 超伝導電磁石 を複数個用いた場合の電子ビームの安定性に対する影響の検討を行っている。
C ) 研究活動の課題と展望
放射光源を小型化する方法として,次の2つの方法を研究している。①高周波フォトカソードからの高密度,低エミッタンスの 電子ビームを取り出し加速した後,レーザーあるいは物質との相互作用で光を発生する方法,②小型の蓄積リングへ,ウィ グラー,アンジュレーター等の挿入光源を挿入し,必要な波長の放射光を十分な強度発生する方法。このうち,①においては, 現在,高周波を発生するためのクライストロン及びその電源の整備を行っており,セシウムテルライドをカソードとして使用し, 高周波を印加して量子効率,寿命等の測定を行う準備を進めている。また,100 MeV 程度の電子ビームを金属多層箔ター ゲットに極浅い角度で入射した場合に発生するX線の実用性を理論的に検討している。これは,箔内部で発生したX線を箔 表面で全反射させることによって,金属内部で吸収されることなく外部に取りだすことを狙ったものである。X線の発生過程 として制動放射および,トランジション放射を仮定して,X線の発生量および,金属表面での反射率の計算を行っている。現
在,実験的な検証を行うため金属多層箔の作製を検討している。
②においては,硬X線を利用するための小型放射光施設として,電子エネルギー1 GeV 程度の蓄積リングへ超伝導ウィグ
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ラーを挿入した場合のビーム安定性等を検討しているが,小型でありながら十分な強度の硬X線を得るために,蓄積リング のデザインの検討も行っている。また,小型放射光施設においては,限られたスペースに,ユーザーの利便性を損なわない 効果的な放射線遮蔽を行う必要があるが,実効線量を計算するための簡易式を作成したので,これを用いることで様々な 形状の遮蔽体の効果を簡単に見積もることが可能となった。
*)2003 年 4月 1日名古屋大学大学院工学研究科助手